ピロリ菌内視鏡検査について
ピロリ菌を除菌して胃潰瘍・胃癌を予防しましょう!
ピロリ菌が持つ酵素(ウレアーゼ)は、胃や十二指腸粘膜に障害を与えます。それ以外にも様々な病原因子を持っており、患者さん自身の他の要因とも複雑に関係 して、胃炎や胃・十二指腸潰瘍を引き起こします。胃潰瘍の約70%以上、十二指腸潰瘍の90%以上がピロリ菌によると考えられています。ピロリ菌を除菌して胃潰瘍・胃癌を予防しましょう。
- ピロリ菌とは
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ピロリ菌は正式名称ヘリコバクター・ピロリと言い、1983年オーストラリアの研究者によって、初めて慢性胃炎患者の胃粘膜から分離培養されました。日本でのピロリ菌感感染率は年代によって分かれており、若年者では10〜40%、40歳以上では60〜80%以上といわれています。
経口感染が主な感染経路で、衛生状態の悪い環境で成長した中高年の感染率と一致していますが、はっきりとしたデータはありません。ピロリ菌感染者すべてが胃潰瘍や十二指腸潰瘍を発症するわけではなく、そのうち数%程度といわれていますが、胃がん発症にも関係していると考えられています。
ピロリ菌の検査法について
- 内視鏡を使う方法
- ・迅速ウレアーゼ試験ピロリ菌が持っているウレアーゼという酵素の活性を利用して調べる方法です。採取した粘膜を専用の反応液に付けて、色の変化でピロリ菌の有無を調べます。
- ・鏡検法粘膜に特殊な染色をして顕微鏡で探す診断法です。
- ・培養法胃の粘膜を磨りつぶし、ピロリ菌の発育環境で培養して判定します。
- 内視鏡を使わない方法
- 内視鏡を使わないで済むため、手軽に受けることができます。
- ・尿素呼気試験試薬を使って、服用前後の呼気を検査用の袋に吹き込み、その採取した呼気で診断します。簡単で精度の高い検査法です。
- ・血清・尿中抗体検査ピロリ菌に感染すると、人は抗体を作ります。その抗体が血液中や尿中にあるかどうかを調べる方法です。
ピロリ菌の診断・治療の保険適用拡大へ
今までは胃潰瘍などの病気がないと保険では除菌できませんでしたが、2013年2月21日から慢性胃炎でも保険適用として診断やピロリ菌除菌治療ができるようになりました。
ピロリ菌は胃潰瘍や十二指腸潰瘍だけでなく、胃癌の危険因子のひとつですので、胃癌の予防のためにもピロリ菌を除菌されることをお勧めします。
ただし、条件があります。
- 血液検査や呼気テスト、内視鏡下での検査にてピロリ菌が陽性であること。
- 内視鏡で慢性胃炎の所見があること。
つまり、胃内視鏡検査を受けていただき、きちんと診断を受ける必要があります。
除菌治療は3種類の薬(潰瘍治療薬+2種類の抗生物質)を1週間内服します。(抗生物質の影響で、下痢や味覚障害などの副作用がでることがあります。服用 前に医師が確認します。)除菌の確率は80%です。
きちんと除菌できたかどうかを、後日、呼気テストといった簡単な方法で確認します。
もし1回の除菌治療で除菌できなかった場合には、別な薬を服用していただき、再除菌をします。